2020年9月30日に、バイオ炭(土壌改良材の炭)が炭素貯留(土壌に埋めること)の有効な方法として、日本政府のJ-クレジット制度に認められました。

私たち日本バイオ炭普及会はこのJ-クレジット制度を活用して、バイオ炭の農地埋設を普及することでCO2を削減し、温暖化防止を加速させると同時に、環境にやさしい地域農業の発展のお役に立つようにします。

日本バイオ炭普及会(JBA)は2009年4月にバイオ炭の普及を目的として設立されました。設立以来、JBAは環境に優しい農業づくりと温暖化防止の貢献のために、バイオ炭を普及する活動を地道に取り組んでいます。この度、バイオ炭がJ-クレジット制度の方法論に認められたことで、ようやく社会的・経済的に認知されてきました。これを機会に、バイオ炭が持続的に普及するように、このJ-クレジット制度を積極的に活用する方策を多面的に考えておりますので、ここで紹介し皆さまの一層のご協力をお願い致したく存じます。

1J-クレジット制度とは?

J-クレジット制度は、省エネ設備の導⼊や森林管理などによる温室効果ガスの排出削減・吸収量を「クレジット」として国が認証する制度です。2013年度に新制度として発足し、制度管理者の経済産業省・環境省・農林⽔産省により運営されています。J-クレジット制度は、排出削減量を「クレジット」という形で売買できる仕組みですが、クレジットは決められた価格はなく、プロジェクト実施者と購⼊希望者との間の⾃由な相対取引となっています。詳しいことを知りたい方は、是非、次のサイトをご覧下さい。

https://japancredit.go.jp/about/ (J-クレジット制度事務局)

2.バイオ炭製造とJ-クレジット

バイオ炭がどのように温室効果ガスを減少させ、クレジットを取得できるのかを、図に示します。

図. CO₂を隔離・封じ込めるバイオ炭の特質とJ-クレジット制度の関わり

*バイオ炭製造の流れ

図の①を見て下さい。

大気中のCO2(二酸化炭素)は農作物など植物の葉で吸収され、植物の光合成機能により糖になり、植物バイオマスを構成する様々な炭素化合物になります。農作物の収穫後には、籾殻などの残渣が発生します。また昨今問題になっている放置された竹林は大きな未利用バイオマスです(図中の②)。これらのバイオマスを炭化炉やガス化炉で熱分解(炭化)させると炭ができます(図中の③)。これらバイオマス由来の炭をバイオ炭と称します(図中の④)。このバイオ炭には、炭化前のバイオマス中にあった炭素Cのうち、約半分が残っています。

*バイオ炭とJ-クレジット

日本の農家では古くから粉炭を農地に撒き、土壌改良材として農作物の生育や連作障害防止に利用してきました。バイオ炭を農地埋設した場合、バイオ炭を構成する炭素Cの結合は強固なので、土壌の微生物によって分解されにくい性質を持っています。そのため地中に長年(100年以上数千年)にわたって残ります。(図中の⑤)。そこで、この土壌改良材として農地に撒く(貯留する)バイオ炭を、J-クレジット制度では大気中CO2を削減する重要な方策として認めることになりました(図中の⑥)。

バイオ炭を農地に埋めて炭素を貯留することは、国際的にも新しく認められた方法です。国連で温暖化の予測や対策を講じる研究者組織にIPCCがあります。このIPCCが2019年5月に発行した「IPCCガイドライン改訂版」(IPCC-2019 Refinement to the 2006 IPCC Guidelines for National GHG Inventories)において、バイオ炭を鉱質土壌地(通常の農地)に貯留する炭素資材として初めて認められました。それに呼応して、国内でも環境省による「バイオ炭の活用による吸収源検討会」が開催され、議論が積み重ねられてきた上でバイオ炭は日本政府のJ-クレジット制度に位置づけられました。

3J-クレジット制度における日本バイオ炭普及会(JBA)の活動

J-クレジット制度の中で、私達JBAでは次のような新たな活動の準備を積極的に進めています。

1) バイオ炭の品質を確認して、バイオ炭品質確認証明書を発行。

2) 農家・農業法人と企業の皆さまの参画を募るための広報と支援。