日本バイオ炭普及会(Japan Biochar Association)
JBA 設立の背景
近年世界のいたるところで異常気象による自然災害が頻発し、私たちの生活にも大きな影響が出始めています。自然の異変からくる、将来への不安感は心理的影響も大きく、社会経済的動揺を惹き起こしているように思えます。異常気象や急激な気候変動、生物多様性の崩壊、森林衰退などはいずれも二酸化炭素の増加とそれに伴う窒素酸化物や硫黄酸化物などの汚染物質の増加によるものと推測されるようになっています。
二酸化炭素の削減や貯留については様々な方法が提案され、技術も開発されていますが、まだ大規模に実行されているわけではありません。また、それらはいずれも大規模事業を目指しており、特定の産業に偏る傾向があります。バイオマスの炭化という方法は世界中の人がどこでも、手近にあるものを使って、いつでも日常的に実行し、さらに生物生産性の向上を通じて、バイオマスエネルギー生産にも寄与できます。
近年、農業大国であるアメリカ、オーストラリア、カナダ、ブラジルなどではバイオ炭の普及が急速に広がり、大規模農業における炭素封じ込め政策として注目を集めています。我が国は炭の多用途利用の先進国として、その責任を果たす義務があるとされており、私たちが提案できる豊富な知識を世界に向けて発信する必要があるとの認識のもと、炭化物の製造と利用に長年かかわってきた有志が集まり、日本バイオ炭普及会を立ち上げることになりました。
JBA 活動理念
私たちは自然破壊の連鎖を食い止め、自然環境を修復するために、世界中の仲間とともにバイオマス炭を使った地球環境保全支援活動を実践的に行います。
JBA 4つの活動指針
1.バイオマスを炭化した炭(バイオ炭)を土壌改良や土木建築、水処理など、燃焼以外の用途にあてることにより、炭素そのものを半永久的に固定化し封じ込め二酸化炭素削減を図ります。
2.バイオ炭の吸着効果・微生物活性化効果を活用して、土壌や水の汚染物質を除去し、二酸化炭素固定に役立つ植物の成長を図ります。
3.バイオ炭を使った二酸化炭素削減効果による二酸化炭素排出権取引により、中山間地や開発途上国における物理的利用を通じて、地域の環境・経済ともにバランスのとれた発展を図ります。
4.バイオ炭を使った土地等で生産された農畜産漁業産物等の育成・奨励を図り、地域の農畜産漁業等の活性化を図ります。
JBA 5つの活動目標
活動指針に沿って次の5点を当面の目標としています。
1.「基準の作成」
炭・酢液等の炭化物の製造と利活用に関わる知見をまとめ、炭化物の用途ごとの性状・規格、製造方法、原料に至る一貫した体系的基準を作成します。
2.「LC-CO₂」
炭化物を燃料用途以外の物理的用途に用いることによって、長期間炭素が不活性化されることを実証するため、カーボンシンクとしての機能を評価するLC-CO₂ またはLC-GHGに関する調査研究を行います。
3.「温暖化対策として」
炭や木酢液等の炭化物の製造と使用に関わる企業、個人、団体等およびバイオ炭を使った土地等で生産された農畜産漁業産物等の生産者・流通業者・消費者を通じて地球温暖化対策に関わっていることを広く訴え、「ポスト京都」の重要案件として取り上げられるよう関係機関に働きかけます。
4.「国際的対応」
従来、我が国の知見を流布してきたアジア、オーストラリア、ブラジルなどを対象として、より緊密な連携を図り、アジア発の「バイオ炭」を世界に広める運動を展開します。
5.「認証制度の確立」と「認証機構としての自立」
上記の活動を通じて、わが国だけでなく国際的にも通用する、バイオ炭の利用によるGHG削減効果認証制度の創設・確立を目指します。その認証制度の確立のため、GHG(温暖化効果ガス)削減および、バイオ炭を使った土地等で生産された農畜産漁業産物等の認証を行う機構の設立を行い、持続可能な社会システムの構築を目指します。