日本バイオ炭普及会会長の就任あいさつ

 

 

 

沖森泰行(立命館大学日本バイオ炭研究センター・客員教授)

2016年4月から会長を務められた凌祥之さんには、7年間も当会を先導して下さったことに深く感謝いたします。

私は、初代会長の故・小川眞さん、2代目会長の凌さんに継いで、3人目の会長になります。私は環境エンジニアリングの民間会社に勤務しながら、2009年の日本バイオ炭普及会(JBA)創設時から副会長を務めておりました。バイオ炭の環境機能と将来性に魅力を感じていましたのでNGO活動として、会長や事務局長、常任幹事の皆さんと一緒になってバイオ炭の普及活動をしてきました。環境・農業分野でマイナーな存在でありましたバイオ炭と本普及会がここまで何とか維持できましたのは、(一社)日本クルベジ協会、日本炭化学会や全国のバイオ炭に関心をもつ研究者、企業人、愛好家の皆さんに支えられきたからだと思っており、ここに改めて感謝いたします。

2018年にIPCCが温暖化に関する「1.5℃報告書」を出したことを契機に、バイオ炭が温暖化対策の重要なツールとして国際的にも認知され、国内でも2020年に政府系炭素クレジット認証制度のJ-クレジットで方法論に認められてから、バイオ炭もようやく社会経済的な事業の一翼を担って動き出したといえます。

特に、国内ではバイオ炭のJ-クレジット認証事業で多くの事業者が参画されるようになり、それに対するる実務と責務が増えると共に、それに対応できる体制をつくる必要が生じてきました。同じ頃、立命館大学に日本バイオ炭研究センターが新設され、その傘下に産官学民の連携組織である日本バイオ炭コンソーシアム(有料の法人会員制)が組成されました。そこで、炭素クレジットに関わるJBAの部署を今年の2月に移管して、炭素クレジット事業を高めることにいたしました。そのコンソーシアムにJBAの多くの法人会員の皆さまにも移籍してもらいました。任意団体であるJBAとは異なり、法人である大学の組織下に入ることで炭素クレジットを含む様々な社会実装の課題に本格的に対応できるようになってきたと言えます。

私は、バイオ炭を社会に実効性をもって広く普及できるならば、世の中の動向やニーズに合わせて、本普及会の組織もどんどん変わって良いと思ってます。従って、JBA会員の皆さまの中で、社会経済的なニーズに合わせて自社の課題をより組織的に解決していきたいと考えておられる法人会員の方々には、立命館大学の日本バイオ炭コンソーシアムに入会されることをお薦めしてます。ただし、当該コンソーシアムは有料の法人会員制ですので、その意味ではJBAはバイオ炭とその普及に関心のある個人の方々の受け皿になってくると言えます。

本普及会は無料の会員制ですし、会としての活動資金が十分にあるわけではありませんから、何か具体的な目標を決めてそれに向けて組織的に動けるわけではありません。バイオ炭普及のサポーター役として、個々の会員の皆さまがバイオ炭普及に向けて活動して下さり、個人で頑張っている人達の拠り所と情報発信の場にしていければ良いと考えてます。そのような意味で、今年9月の総会で会則を改定し、その実情に合わせて組織の動きを身軽にいたしました。

会員の皆さまやバイオ炭に関係する諸団体の皆さまとともに、引き続きバイオ炭の普及に貢献していく所存です。