2009年創設以来、バイオ炭の普及にご尽力いただきました初代会長小川眞先生の後を継ぎ,2016年4月、会長を拝命いたしました.
日本バイオ炭普及会(JBA)は,これまで毎年の総会を含め,2011年にはアジア太平洋バイオチャー国際会議を主宰し,長く国際バイオチャーイニシアティブ(IBI)の国際会議やアジア太平洋バイオチャー会議を主導してまいりました.また農水省の炭素貯留農業プログラムに多く参加し,また事務局長の柴田 晃氏が低炭素カップ環境大臣賞を受賞したりとまさに時代を支えてきました.
その間,アメリカ合衆国,英国やドイツ,韓国にも研究のパートナーを多数作り,これらの国の一部には,国立のバイオチャー研究拠点ができております.また,カンボジアを含む発展途上国にも技術協力を惜しまず,多数の研究パートナーを日本に招聘しております.
世界のバイオチャー研究を推進してきた自負はあるものの,近年その優位性が薄れている気もしております.例えばアメリカ合衆国農務局研究機構(USDA-ARS)はバイオチャーの大きなプログラムを立ち上げ,特に吸着や土壌リメディエーションに関して,問題解決とデータベースの融合研究について,確実な成果を上げております.
一方,環境問題に注目すれば,2015年のパリ協定で提案された4/1000イニシアティブは(https://4p1000.org/参照),まさに我々が目指し推進してきたことと同じで,大気中の二酸化炭素を炭化物の形として農地に貯留し,気候変動に貢献しようとするものです.わが国では農水省を始めとし,一部で政策には取り入られてはおりますが、まだまだ行政の方々や、一般の方には我々の活動がなかなか理解してもらえない状況が続いており,もどかしい思いをしております.これまで培ってきた知見とネットワークを用い,世界的な注目が集まっているこの時期に,日本だけでなく世界にも是非我々の活動をPRする必要があると思います.
ともあれ足元を見直せば,参加者の高齢化,停滞化は否めません.研究者はなかなか研究資金を獲得できず,苦労している模様です.何とかこの悪循環を打破しなければなりません.
やはり今後も,様々な異なる分野の仲間と連携を深め,この厚い壁を打ち破っていくしかないと思います.さらなる努力,連携を怠ってはなかなかこの現状を打開できないでしょう.
バイオ炭普及会として,皆様とともに具体的なアイデアを共有し提案できるよう努力しバイオ炭の普及を通じた環境保全活動を行ってまいります。今後共、皆様のご協力御鞭撻をお願いいたします。
2017年4月
凌 祥之 (九州大学大学院農学研究院)