小川眞名誉会長のご逝去について

日本バイオ炭普及会初代会長である、小川眞名誉会長が2021年8月12日にご逝去されました。

日本バイオ炭普及会会員一同、謹んでご冥福をお祈りいたします。

故小川眞名誉会長と親交の深かった日本バイオ炭普及会副会長、品質部門長の沖森奉行の追悼文を掲載いたします。

 

故小川眞名誉会長の思いを継いで

沖森 奉行

 小川眞さんの魅力はその卓越した実行力でした。ご自分の研究成果や開発した技術と知見を、社会に役立てるために行動する力でした。菌根菌の普及、植林の普及、バイオ炭の普及のいずれの活動でも、まずしっかりと研究や技術開発で確かめて、それらを論文で終わりにせず、実際に社会に役立てるために行動を起こすことでした。それも一人で細々とやるのではなく、組織を立ち上げて共感する人達を集めて、ご自分が先導しながらも皆で一緒になって目的のために活動しました。微生物緑化研究会、BIO-REFOR(熱帯林再生研究者連合)、白砂青松の会、日本バイオ炭普及会など、その他にも色んな組織やグループをつくられました。そこに参集された人達が、小川さんを通じてまた知り合いになっていき、さらに輪が広がるのですから、不思議なものです。

何よりも、人の繋がりを大事にされた方です。そこには周りの人達を引きつける魅力がありました。紳士的で、科学を大事にされ、物事に動じない性格と風貌は、多くの人の信頼を得ていました。私が民間企業で小川眞さんの下で研究・技術開発で働いていた時、小川さんが所員に「研究者の心得10か条」を渡しました。それを今でも大事に持っているのですが、中でも私が好きなのは次の2つです。「ひとの為に労を惜しまぬこと」「大義名分の立つ仕事をすること」。これはまさに、小川眞さんがご自分の心得としながら、実践されてきたものだと思っています。

この日本バイオ炭普及会(JBA)は2009年4月に発足しました。小川眞さんが旗を振って同志が集まって設立し、活動しています。設立の目的は、バイオ炭を農業生産や環境保全に役立てながら、炭素シンクとして地球温暖化防止に活用し、それを国際的に広めることです。小川さんは沢山の本を書かれていますが、近年の著書で「炭と菌根でよみがえる松(2007)」、「菌と世界の森林再生(2011)」、「キノコの教え(2012)」には小川さんの生き方と哲学がよく描かれています。「キノコの教え(2012)」の終わりの方で、「菌と植物の共生はどこか人間の生き方に似ている」と書かれており、これは日頃から仰っていたことです。自然界の中でも共生関係は宿主と寄主がお互いに利するような対等の関係にある。人の社会でも、共生するには「まず相手を対等と認めるところから始まる。他を思いやる心を植え付け、世界平和に貢献することにつながる」。この考えはJBAの目的にも息づいています。バイオ炭の普及によって設立目的の達成に少しでも近づけば、ちょっと大げさですが小川さん流の世界平和に貢献していけるのかなと思います。

小川名誉会長のご冥福をお祈りいたします。