J-クレジット制度の中で、私たち日本バイオ炭普及会(JBA)は図のような流れと役割で活動を積極的に進めています。

J-クレジット制度におけるバイオ炭の位置づけについては、こちらを参照して下さい。

図. バイオ炭の品質管理とJ-クレジットの流れ

(1)JBA内における新組織の設置

 ①バイオ炭品質確認部門

バイオ炭を使ってJ-クレジット申請をするためには、バイオ炭の品質を確認することが大事です。ここで言うバイオ炭の品質とは、バイオ炭に含まれる炭素率が大きな要素です。バイオ炭の品質は原料や製造方法によって異なりますから、それぞれの炭素率を明らかにしておくことが大事です。

JBAは日本で最初にバイオ炭の規格を制定しました(2019年7月)。この規格はJ-クレジットの方法論の規格にも採用されています。そこで、JBAでは、バイオ炭品質確認部門を新しく設置し、それぞれのバイオ炭の標準的炭素率や製造時に発生する炭素量を科学的に検証して、バイオ炭品質確認書を発行することとしました。

この確認書により、バイオ炭を施用する農家の方々が簡単にJ-クレジット申請を行うことができます。

 ②バイオ炭製造・販売部会

日本におけるバイオ炭の品質を相互に確認し支える組織として、JBAの中にバイオ炭製造・販売部会を設立します。この部会は実際にバイオ炭を製造・販売している企業・個人の方々・炭化・ガス化装置等を製造する企業の方々・規格や制度等を考える農学や工学及び社会学などの科学者の方々等で構成されます。

バイオ炭をつくる条件(原料の違い、装置の違い、炭化温度の違い等)を踏まえて、バイオ炭製造現場や農業現場に精通している人達が集まって、最も合理的な品質の標準化(規格化)やバイオ炭を作るときに発生するCO2などの標準化(モデル化)を図り、また標準的な使い方(農業における施用方法等)を検討するのが目的です。

 

(2)バイオ炭製造・販売および炭化機械を製造する方々へ

バイオ炭を製造・販売する方々は、当部会に参画されると大きなメリットがあります。当部会の構成員であれば、自社で製造されるバイオ炭を農家や農業法人の方々に販売する際に、JBAが発行するバイオ炭品質確認書を会員価格で入手可能です。この確認書には製造時に発生するCO₂の排出量を踏まえた実質的な炭素貯留可能量が表記されており、J-クレジット申請の際は必要となります。また、JBAが関係(主催)する各種バイオ炭の規格の改定や制定にも参画が可能となり、様々な最新情報が容易に入手可能となります。

日進月歩で技術革新が進む市場の中ですから、より品質が安定したバイオ炭や高機能なバイオ炭の製造のために、バイオ炭の製造者やバイオ炭機械会社の方々は利用者のニーズに合った技術開発が求められると思います。JBAは日本全国や国際的なネットワークを持っていますので、そのような情報を適切に提供し、相互の情報交換ができます。皆様が、このバイオ炭製造・販売部会に積極的に参加して下さることを期待しております。

 

(3)農業を営まれる農家・農業法人の皆様へ

実際にバイオ炭を使って農地炭素貯留を進めるのは農家の方々等です。皆様にはぜひ、このJ-クレジット制度を活用して炭素貯留活動に参画していただきたいと思っています。農家・農業法人の皆さんは、常に苦心しながら良質な農作物を作られ消費者に供給されていることと思います。そこでさらに、農地に土壌改良材としてのバイオ炭を撒いたり、鋤き込んだりすることで、世界的に焦眉の課題である地球温暖化対策に直接に貢献することができます。そしてその行為を日本政府がJ-クレジットとして正式に認定してくれますので、そのバイオ炭の量(炭素クレジット)を市場で売却することも可能です。

バイオ炭による農地炭素貯留はクレジットを創出するだけの利点だけではありません。バイオ炭を農地に施用することは、土壌に適度な保水性と透水性を実現し、作物と共生する土壌微生物を繁殖させ、ミネラルを供給し、連作障害の防止になります。まさに環境に優しい農業を目指す一助になります。このJ-クレジットの認定によって、その農地の作物が環境保全農産物であることが証明され、地域環境保全ブランドの構築にも効果的です。

一方、地域での環境整備に目を向けると、バイオ炭は地域で問題となっている放置された竹林・竹藪の処理を通じた里山整備への可能性を秘めています。バイオ炭原料の供給という意味で、地域での環境保全活動を後押しできるのではないかとJBAでは考えております。

 

(4)企業の皆様へ

温暖化防止対策の活動に強い関心をもっていらっしゃる企業の皆様には、是非ともこのバイオ炭によるJ-クレジットを購入することで、CO2削減にご支援・ご協力をいただきたいと思います。この購入は温暖化防止に貢献するとともに、日本の自然環境保全に優しい・素晴らしい農業の育成を図り、ひいては多くの自然環境資源を有しながら様々な問題を抱える農山村地域の振興にも繋がります。そのことは、企業の皆様のCSR活動、営業活動にもきっとお役に立てるはずです。

 

私達JBAは、炭と農業に関する専門家が集まった組織です。私達は日本で初めてバイオ炭規格を作成しました。バイオ炭を研究・推進する国際団体との連携をもち、農林水産省や大学、研究機関とも連携しています。また、そのため公的助成金申請に関する情報提供も行うことができます。年々深刻さを増す地球温暖化と気候変動に関心を持たれている皆様、私達JBAが行う活動に多くのご賛助・ご支援を頂けましたら幸いです。

 

★ ご賛助・ご支援を希望される方や問い合わせのある方は、お気軽にこちらからお問い合わせください。