Webニュース第2号

1..あいさつ  JBA会長 小川眞
急に寒くなってきましたが、皆様にはお元気でお過ごしのことと存じ上げます。
「日本バイオ炭普及会」JBAの発足以来、日本では政権交代や経済不況など、世の中の趨勢も大きく変わり、世界中で気候変動による自然災害がますます増えています。しかし、GHGの排出削減も声高に叫ばれていますが、大規模に実行された例はまだありません。また、一般社会の生活にもまったく変化は見られず、環境問題を深刻にとらえる意識が共有されているとは思えません。

一方、日本ではマツ枯れはもちろん、近年ナラ枯れやカラマツの枯れ、スギの衰弱、タケの衰弱などが進んでおり、自然状態が大きく変化し始めています。このような現象は世界、特に北半球で顕著になっており、針葉樹や広葉樹がいたるところで枯れています。枯死や火災、伐採などによる森林の消失は、炭素の放出につながり、炭素の吸収・貯留源であった森林が、今や排出源に変わろうとしているのです。

温暖化は海洋、河川、湖沼などの水温と地球表面の土壌温度を上昇させています。水や土は熱しやすく、冷めにくいといわれるように、いったん温度が上がると容易に下がりません。水温や地温の上昇はその中に暮らす生物の働きを促し、活動期間も長くなります。消費者や分解者である、動物や微生物の活動が盛んになると、それだけ二酸化炭素の放出量が増え、化石燃料から出たものに加算されていきます。ここ数十年間の急激な温度上昇と大気中の二酸化炭素量の増加を見ていると、このような負のスパイラルが動き始めたように思えます。

御存じのように、地球上での炭素の分配は時とともに変化してきました。初めは大気中に多かった炭素がデボン紀以来、緑色植物によって有機炭素として固定され、それを食べる他の生物の体にも固定されていきました。巨大植物に蓄積された有機炭素は分解されないまま土に埋もれて石炭となり、他の生物の遺体は同じように土の中で石油やガスになりました。大量に炭素が土に埋もれたために、大気中の炭素の量が減り、酸素分圧が上がり、多様な生物が現れました。

人類を含む哺乳類が繁栄できた現在のような生態系は、地球の歴史から見ればごく新しいものなのです。地球が3億年以上にわたって封じ込めてきた炭素を、われわれ人類はわずか300年ほどの間に燃やし尽くそうとしています。これは地球上の炭素のバランスを崩してしまう行為にほかなりません。これまで、あらゆる生物は地球上の炭素の配分によって絶滅と繁栄を経験してきたのです。

炭を土に埋めるという行為には、農林業に役立てようという目的や、炭素排出権取引の種にしようという意図だけでなく、地球のあり方と生物の生存にかかわる大切な役割があると、私はいいたいのです。炭を作り、それを土に戻すという行いには、生命を畏れ敬い、贖罪の心を持つことが大切だと思います。多くの人が、できる範囲で、できる時と場所で、この運動に参加してくださることを期待いたします。

国際組織であるInternational Biochar Initiatives (IBI)の活動は、世界中に広がり、各地に支部が生まれ、ますます盛んになっています。ただし、主目標が排出権取引にあって、アフリカや南米の発展途上国で大規模農業を主にして広げようとしたため、環境NGOからの批判意見も多く、COP15では取り上げられないことになりました。研究蓄積が乏しく、実証データが少なすぎる現状ではやむをえません。

一方、JBAとしてはモミガラくん炭や木灰を使ってきた経験から、アジアの集約農業地域、タイ、台湾、中国、マレーシア、韓国などを中心にしてアジア共同体を作り始めました。また、イギリスやEU諸国と連携して、地域に定着する炭の農林業・土木建築業などへの普及を図っていこうとしています。IBIに参加して、政治的に運動を展開することも必要ですが、JBAとしては、研究を深化させる一方、国内とアジアで実証事業を展開し、地域社会に受け入れられる方策を模索しながら、地道に活動しようとしています。

発足時に提案した基本方針に基づいて、課題を一つずつ実現に導くため、役員のみなさんに全くのボランテイア活動で東奔西走、働いていただいています。そのおかげで、このお知らせに載せられるほどの成果が出てまいりました。あまり無理をしないようにと願っていますが、その熱意には頭が下がります。会員の皆様には、ご興味をお持ちの方々にお声をかけていただき、JBAの活動に参加してくださる方が一人でも多くなるよう、お力添えをお願い申し上げます。

2.イベント報告
9月から11月までJBA周辺は国内・海外でイベント続きでした。

○第12回環境共生学会:2009年9月27日
○第7回バイオマス炭化シンポジウム:2009年10月23日
○亀岡カーボンマイナス研究委員会:2009年11月29日
○亀岡カーボンマイナス講演会:2009年11月30日
○台湾ワークショップ:2009年10月15,16日
○中英バイオチャー合同国際ワークショップ:2009年10月18~20日
○タイワークショップ:2009年11月10、11日
上記イベントの報告はこちらからご覧ください。スタッフの尽力により、
国内、海外でBiocharに関する認識が急速に深まり、広がりを見せています。

3.炭素貯留モデル事業について
前回ご紹介した農水省の炭素貯留モデル事業が下記の市町村で実施されています。(炭を使った地域のみをご紹介しています。また、それぞれの自治体が主催しているという意味ではありません)
青森県津軽市、東北町、おいらせ町、東京都日野市 、滋賀県東近江市、愛知県大府市、三重県多気町、京都府亀岡市 、島根県吉賀町、高知県大豊町、沖縄県宮古島市
これらの地域での炭投入による炭素貯留効果と作物への影響が今年度末には出てくると思われます。まとまり次第誌上で紹介します。ご期待下さい。

4.IBI活動情報
新聞・テレビでご覧のように、COP15は最悪の事態を避けつつ大事な決定は来年に持ち越しとなりました。IBIの事務局長(渉外担当?)であるDebbi Reed女史もコペンハーゲンに乗り込み、IBI主催のサイドイベントを1本と他の主催のBiocharを扱ったイベントにも2本参加し、Biocharへの国際世論への関心を引き付けていたようです。依然としてUNCCD(砂漠化防止対処条約)やUNFCCC(国連気候変動枠組み条約)はBiocharを支持しているとIBIニュースでは訴えています。IBI職員も昨年の2人から今では6人もいるそうです。もちろん来年が正念場になるでしょうから、IBIのロビー活動もより活発にならざるを得ません。また、IBIでは部会を設けてBiocharの規格化を進めています。様々な国での支部結成の動きも盛んで、今15の国に合わせて24のBiocharを進める団体があるとのことです。一番活発なのはアメリカで、最低3ヶ月に一度はどこかでBiocharの地域会合を開いています。また、2010年9月にはブラジルでBiocharの国際会議が予定されています。IBIの歴史についてこちらのページに簡単にまとめましたのでご覧ください。またIBIからのお知らせについて主なものはこちらに掲載していきます。

5.バイオ炭に関するお便り
小川会長のもとに下記のようなメールが届きました。楽しい内容ですので転載します。
小川 眞 様
夏の黄土高原では大変お世話になりました。
帰国直後に、50㎝の無煙炭化器を購入し、勤務先の静岡県土肥(とい)高等学校で早速炭を焼き、バイオセラピーの授業で使用したところ、ブロッコリーやダイコンが例年に無い旺盛な生育をし驚いています。こんなにも効果があるとは思いませんでした。
技能員さんが1日2回焼いています。焼いた炭は圃場や花壇、プランターはもとより、校内の枯れ葉を腐葉土にするための施設にも混入して分解を促進しています。
また、12月初旬には交流している幼稚園に持ち込み、剪定したビワの枝の処理と焼き芋を行い大好評でした。私も周りの数人の人も購入し、好評です。現在私は住んでいる地区のまちづくり協議会の委員をしていますがスローライフ部会とお祭り部会があり、当然私はスローライフ部会に所属しています。有志で休耕田30aに菜の花を播いたりしていますが1月に何かできないか話し合っているときに「炭をやきませんか」と提案したところ全員やる気になり、1月17日に実施となりました。町当局も積極的で回覧板で全家庭に「無煙炭化器による炭づくり講習会」のお知らせを回すことになり、先日原稿を役場に届けました。無煙炭化器は3~4台用意できそうです。また、他の人から連絡がありイノシシの肉とサツマイモが大量にあるので猪鍋と焼き芋をやろうと盛り上がっています。いっきに炭ブームが広がりそうです。1月になりましたら「日本バイオ炭普及協会」に加入させていただくつもりでおります。将来的には「炭を使った無(省)肥料・無農薬の市民農園」を長期的視野に入れて、活動していきたいと考えています。今後もご指導よろしくお願いいたします。藤原 國雄

6.編集後記
すでにお気づきと思いますが、JBAのホームページがリニューアルしました。URLはhttp://www.biochar.jp/です。こちらをクリックしていただければご覧になれます。海外・国内のニュースなど、できるだけ新しい情報を掲載するよう鋭意努力してまいります。会員のみなさんからの投稿やフィードバックももちろんお待ちしております。また、こんなコンテンツを作って欲しいなどのご意見がありましたら info@sumiyaki.jp (広若)までご連絡下さい。
気候変動に対処するための合意は越年の様相ですが、皆様なにとぞ良いお年をお迎え下さい。また、来年もJBAの活動にご協力いただきますようよろしくお願い申し上げます。 広若 剛 拝