Webニュース創刊号


JBA会長 小川眞 

1.あいさつ ~Webニュース配信開始にあたって       JBA会長 小川眞今年も豪雨、竜巻、大洪水、異常な長梅雨など、世界各地で不安定な気象状況が 続き、これが当たり前のようになりだしました。海外では「温暖化」よりも「気 候変動」という言葉が使われています。温暖化すれば、寒いところでも作物が育 つという人もいますが、今年は北海道が凶作になりそうです。おそらく、まだ序 の口で、これからますます気候変動の幅が広くなっていくことでしょう。 このような状況は、我々がすでに大気中に放出した温暖化ガスに由来するもので あることは明らかです。世界では温暖化ガス削減対策が叫ばれ、さまざまな対策 が始動していますが、残念ながら、衆議院選挙のどの政党のマニフェストにも出 てこないように、日本ではまだ大きな動きになっていません。 既に放出されたものだけでこの気候変動なのです。今も将来も、まだ出続ける温 暖化ガスの影響は測り知れないものになることでしょう。

化石燃料の燃焼から出 ているのは、二酸化炭素だけではありません。排気ガスの中には窒素酸化物や硫 黄酸化物など、大量の汚染物質も含まれています。気候変動や汚染の影響を予測 するのは困難で、いつどこで何が起こるか、誰も予測できないのです。 大気中に放出されたものを固定し、長期間保存できるのは緑色植物、特に樹木し かありません。植物が固定したものを燃したり腐らせたりするのではなく、その 一部分だけでも炭化して、それを土壌改良や植林に使えば、炭素を封じ込めるこ とにつながります。これは3億年かかって化石燃料の形で地球が炭素を封じ込め てきたやり方です。炭素は生物の生存にとって必須の元素ですが、そのあり方に よっては毒にも薬にもなります。生きものを育む青い星になるために、いかに炭 素をうまく扱うかというのが、地球の命題だったように思えます。私たちもこの 地球のやり方にならって、炭素の封じ込めを実行に移そうとしているのです。

2007年にIBIが設立されて以来、世界中でバイオチャーへの関心が高まり、欧 米だけでなく、アジア諸国でも集会が開かれ、組織作りが進んでいます。中には 温暖化対策として取り組もうとする人から、大きなビジネスや名前を売り込む チャンスだととらえる人まで、さまざまですが、日増しに熱気が高まっていま す。日本でも国内だけでなく、アジアを中心に声をかけてネットワークを作ろう という声が大きくなってきました。また、世界の各地から炭先進国、日本を訪ね たいという人が増え始めました。2011年には日本で「第二回アジア・パシフィッ ク バイオチャー大会」を開くように求められています。

そのため、国内外での活動の様子をみなさんにお知らせし、ご意見を集約して 「廃物から炭を作り、多方面で活用し、炭素固定・温暖化対策として認めてもら えるように働きかける運動」を着実に実行に移していく必要があります。2009年 4月4日に「日本バイオ炭普及会」が発足して以来、役員の方々にボランティア活 動で準備作業を進めていただき、広報担当の広若さんの努力で、ロゴマークも決 まり、ホームページを開設する運びになりました(準備中)。できるだけ頻度高く、情報を 流したいと願っていますが、人手、経費、時間などの点で障害も多く、ご満足い ただけるのは少し先のことになると思われます。この場が皆さんの意見交換の場 として利用していただけることも願っております。事情ご賢察のうえ、ご支援く ださいますようお願い申し上げます。
2009年8月4日 「日本バイオ炭普及会」会長 小川 眞

2.活動報告
☆総会報告

 


JBA設立総会での小川会長の特別講演

2009年4月4日、JBAは設立されました。120人の列席で議事が承認された設立総会の後、国立環境研究所・山形与志樹氏による「地球温暖化に関する最新の動向と今後の課題」やUNEP(国連環境計画)のハリ・スリニバス氏による「国連から見た環境政策の現状」、そしてJBA会長となった大阪工業大学・小川眞氏による「炭は温暖化対策につながるのか」等の特別講演で世界規模でのバイオ炭による温暖化対策の見通しについて認識を深めました。その後の懇親会もJBAへの期待感からか盛況を極め、炭の新しい時代の幕開けを感じさせる一日となりました。JBAは2011年のバイオチャー国際会議を目指して日本で普及活動・研究活動を推進し、アジアネットワークの形成に尽力して参ります。

☆アジアパシフィック会議報告


200人の参加者で賑わったアジアパシフィック会議


ニューサウスウェールズ州一次産業省試験場でのGHG(温室効果ガス)の測定

5月17日~21日にかけてオーストラリア・ゴールドコーストでバイオチャーの第一回アジアパシフィック会議が開催されました。日本からは小川会長以下9人が参加し、全体では200人を超す盛況ぶりでした。詳しくは小川会長によるレポートをご覧下さい。
また、会議で配布された要旨集はこちらからご覧になれます(英文)
IBI(International Biochar Initiative)のリーダー、ヨハネス・レーマン氏らの当日のプレゼンテーションPPT(英語)はこちらからご覧になれます。
タイトルのみ日本文でまとめたページはこちらからご覧になれます。

3.お知らせ
炭素貯留モデル事業公募のお知らせ~第3次募集の締め切り8月中旬に迫る!
農水省では農業生産地球温暖化総合対策事業の1事業として土壌炭素の貯留に関するモデル事業を今年度募集しています。

JBAとしてはこの事業を活用して全国で炭投入による土壌炭素の変化と温室効果ガス(GHG)の計測を行い、データを蓄積したいと考えています。大学、研究機関(GHGの計測・分析ができるところ)、公的セクター、農家(農業生産法人)などのセクターがまとまれば是非応募してみて下さい。詳しくは事務局まで。

4.行事予定
JBAでは下記の行事を予定しています。
☆日台合同セミナー(10/15,16)
JBAと炭化物利用研究会、台湾工業技術研究院との共催で台湾において合同セミナーを開催します。
JBAからは小川会長、柴田、沖森、加藤、大森、広若が参加予定です。次のWebニュースで詳細をお知らせします。

☆バイオマス炭化シンポジウム(10/23)
JBAとNARO(農研機構)は第9回バイオマス炭化シンポジウムをつくばで開催します。農水省から土壌炭素の担当官がレクチャーする他、オーストラリアの会議で最優秀発表者賞を獲得した木炭養鶏・自然農法家の高橋丈夫氏の講演もあります。詳細は次のWebニュースでお知らせします。

その他関連行事(バイオマスや炭化等JBAの活動に関係するもの)
○エコカーボン研究会(10/2)
炭素材料学会の分科会として年1回活動してきたエコカーボン研究会も今年で10回目を迎えます。今年は東京・日野市の明星大学で開催されます。詳しくはこちらから。
○中英Biocharワークショップ(10/19、20)
中国がBiocharに大きな関心を寄せ始めました。このワークショップでは英国から数名の情報提供者を招いてこれから中国がBiocharに関してどう取り組んでいくのかが討議されます。日本からの参加もOKです。詳しくはこちらから。
○アジアバイオマスワークショップ(11/18~20)
第6回目の今回は広島で開催。アジア諸国でバイオマスの利活用に関連している行政・研究関係者と日本の産学官の関係者による技術交流・意見交換を図ります。詳しくはこちらから。

5.IBI活動最新情報
☆IBIは7月にホームページをリニューアルしました。バイオチャーに関する国際情報は下記ページ右欄から読めます(英語、中国語、イタリア語、ポルトガル語など)。また、左欄からはこれからのイベントなども見られます。一度のぞいてみて下さい→IBI

☆今年6月のドイツ・ボンでのUNFCCC会合でオーストラリアが気候変動緩和の対策としてのBiocharに文書で賛意を示しました。これまでBiocharに賛意を示したのはアフリカや中米、太平洋の島国など途上国のみで、先進国として始めての賛意表明となります。また、6月18日、IBIリーダー、ヨハネス・レーマンがアメリカ合衆国政府の専門家委員会でBiocharについて証言を行いました。国連も農業部門での炭素クレジットを認める方向に動くなど、世界はBiocharの流れになってきています。

6.後記
7月4日付け朝日Beに英ヴァージン・グループ会長のRichard Branson氏の紹介の欄で最後にBiocharによる炭素固定に言及されていました。5で紹介したバイオチャーに関する国際情報をご覧になっても分かるように、英米豪ではバイオチャーが主要メディアで取り上げられ、批判的なものまで含めて熱い議論が交わされています。日本は政治の大まかな方向すらまだ決まらない状況で歯がゆい限りですが、炭素貯留モデル事業などの地道な取り組みを積み重ねて行きたいものです。
このメールニュースでは今後、各地の炭の製造・利用による炭素固定活動や研究の動向について取り上て行く予定です。地域で活動されている方々の投稿を歓迎します。
また、JBAでは個人会員・団体会員を募集しています。こちらから申し込みできます。是非周りの方にも勧めて下さい。

 

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