各国政府の取組

アメリカ

国レベルで最もBiocharに力を入れているのはIBIの委員長Johaness Lehmannのアメリカである。
アメリカ連邦政府は2007年に制定したSalazar Harvesting Energy Act (S.1884)で

①Biocharの様々な規模での商業化を促進するための研究開発予算として1000万ドル/年

②土壌を改良し、炭素クレジットも生み出すものとしてのBiocharの生産と商品化及びBiocharの環境での挙動等に関する研究とデモンストレーション事業、そしてBiocharの経済性及びLCAに関する研究に2000万ドル/年

③Biocharをビジネスの軌道に乗せるための研究・普及の取り組みに2000万ドル/年

④長期間の炭素固定に役立つBiocharを含む化石資源由来でない更新性の肥料の開発などに毎年3億ドル

を5年間に亘って支出する

等と明記している。
また、2009年6月にはLehmannが合衆国政府のエネルギー自立と地球温暖化に関する専門家委員会でBiocharの有効性に関する証言を行うなど、国際及び国内の炭素市場でBiocharを扱うための道筋が着実につけられている。

オーストラリア・ニュージーランド

次に活発に見えるのは農畜産業からの温暖化ガス放出量が国全体の30%に達するというオーストラリアである。この国は火山性の酸性土壌が多く、土地もやせており、炭を施用すると作物の収量が倍近くになるというBiocharの施用には恵まれた条件で、2015年には農畜産業も国内排出権市場に組み込まれることになっているため、研究及び普及またデモンストレーションに関するインセンティブは高い。

この国と隣のニュージーランドに特有の事情は、肉牛や羊の放牧で放出されるメタンガスが農業部門からの温室効果ガスの80%に達し、Biocharの施用でそれがかなり抑えられることである。単に炭素固定でなく、窒素肥料の過剰施用によるN2Oも含め他の温室効果ガスまでBiocharで対処できることは、これらの国にとって大変大きな意味を持つものと思われる。

これまで温暖化の観点から厄介者扱いされてきた農畜産業が一転して国全体の削減義務量をカバーする可能性も出てきており、Biocharへの業界の期待は高い。オーストラリアでは国の科学研究機関であるCSIRO(Commonwealth Scientific and Industrial Research Organisation)やニューサウスウェールズ州第一次産業省、Josephの所属するNSW大学などが活発に研究を進めており、隣国ニュージーランドは最初のIBI国際会議に農林大臣を送り込むなど、いずれも精力的に活動している。

イギリス

イギリスはIBIに理事を置いていないものの、2009年4月UK Biochar Research Centerが設立され、約100人の研究者を集めてBiocharのワークショップが開かれるなど、欧州の炭素市場をリードする国としての意識は高く、政府もUKBRCを通じて研究を支援している。2010年8月にはこのUKBRCから数名の研究者が来日し、日本のBiocharに関する技術的・社会的経験を視察して回った。(報告書(英文)はこちら